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舞台「K-Lost Small World-」感想

舞台「K-Lost Small World-」を見ました。

「舞台『K』」、「『K』 第二章 -AROUSAL OF KING-」の前二作は、
各登場人物に焦点を当て、そこから世界を描き出すような……
登場人物を掘り下げるというより、登場人物の周辺を埋めていくことで、
おぼろげに世界観を感得させる、いわばアトラクション的な楽しみ方が
出来たとこが好いたらしく、評価していました。
(もちろん、繁雑な原作を分かりやすく再構成したところも!ですが)

で、本作「K-Lost Small World-」は、美咲と猿比古の二人の関係が
なぜあそこまでこじれてしまったかを描く作品で、
世界を身体に感じる作品とは対極の、
小さな箱庭の手触りを楽しむ方向性を有していて、
Kの舞台にライトな愉しみを求めている自分が、果たしてノれるのか……。
と思っていましたが、杞憂でしたね!

・・・

舞台は、同級生の中に居場所がなく、
無意識に人間関係に居座っては煙たがれている美咲と、
こちらも学校に、そして家にも居場所がない猿比古が出会うことから始まります。
お互いの隙間を埋め合うように惹かれ合う二人ですが、
二人の求めているものは違うように思えました。
同級生に無理に兄貴風を吹かせようとするのは、仲間を庇護する存在が必要だと思っていることの裏返しで、だからこそなんでも出来て頭の良い、兄のような猿比古に惹かれたのだと思います(こう言ったら美咲は怒りそうですが)。
両親とまともな関係が築けなかった猿比古は、自分の能力・才能をひたすらに肯定し、見守ってくれる存在が欲しかったように見えます。
この関係は悲劇的です。美咲の求めるものは代替可能ですが、猿比古の求めるものは(偶然が重なってたまたま美咲が与えられていましたが)本来は親くらいにしか与え得ないもので、それが与えられることは永劫にないからです。
この時点でボクには猿比古が安息の地などないのに彷徨う亡霊のように見えました。


そう、亡霊。猿比古について語る上で外せないのが彼の父親ですね。
作中でも顔は良いと言われていましたが、実際顔が良くて、それはいい。クロの人だと気づかせなかったのは演技もですが、メイクさんGJという感じですね。
それもいい。
猿比古の父親である仁希は、猿比古の好きなもの、大切なものを台無しにしようとする悪癖があります。猿比古の内面の欠落はそこに起因し、同時に周囲に誰も大切なもの・人を置かないという現状を作り出しました。
「顔が良いだけのろくでなし」と評される仁希ですが、行動の根にあるものは想像出来ないでもない。それは、生まれついて与えられるはずのものを信じられないということ。
生まれたばかりの赤ん坊に仁希はこう言い放ちます「猿みてえ。お前の名前はサルヒコだ」。一般的に、配偶者か自分の顔に似ている部分を探すのが人情というもの。自分の種かどうかとか以前に、血の繋がりというもの、それに起因する関係や愛情というものが信じられていないかのようです。
子供が生まれれば自動的に発生する「繋がり」を信じられないのであれば、それは人工的に作り出すしか無い。大切なものを壊されれば、そいつは必ずこちらを見て、憎しみに囚われて一時も忘れることがない。「無条件で信じられる」ような不確かな関係よりもどれほど合理的で、コントローラブルか。仁希のバカ笑いは、決して自分が笑いたくて笑っているのではなく、猿比古を見ながら、猿比古が一番腹が立つように笑っているのですから。


二人の歪な関係は、美咲が自分たちを助けてくれた尊に心酔し、猿比古とともに吠舞羅に入ったことをきっかけに崩壊へと進んでいきます。
二人の瞳に映るもの、思い出すこと、聞きたい言葉、言いたい言葉がことごとくすれ違っていく様のヒリつく感じはたまらないものがあります。
同時期に精神の均衡を崩し、死んだはずの仁希の亡霊を見るようになる猿比古。
仁希を振り払おうとすればするほど、自分と仁希が重なり、行動・行動原理・笑い方まで似て来て……。


破局を迎え、二人が親友でいられた頃を振り返って本作は終わります。
それにしても、本作がなぜこれほど胸を打つのか。
一つは、たとえ歪であったにせよ、二人の関係はあの瞬間にしか成立し得ず、二人がお互いを思い合っていたことの輝きは本物であったから。
(あの輝きを描くために、世界が二人のキャラに奉仕している様は、キャラが世界に奉仕してKの空気感を出していた前二作の裏返しで、見事でしたね。)
もう一つは、誰も、誰かの代わりは出来ない残酷さを突きつけられるから。
彼らのあり得たかもしれない、しかしきっとあり得なかった未来を想像する……自分の人生を鑑みる際に心に吹きすさぶ風の冷たいこと。

ただ、救いはあります。お互いの欠落を、相手を捻じ曲げたり、自分の認識を捻じ曲げたりして埋めようとするから関係性が壊れるわけで、欠落は欠落として、相手と新たな関係性を作っていけばいい。そういう示唆はあったはずですから。
(Kは「キズナの物語」だそうですが、絆は訓で読めば「ほだし」です。
お互いがお互いを縛り付けておかしくなってしまう前に、相手を拒否する--そう、持たれ合うばかりでなく、拒否というのも相互の成長のための重要なファクターですしね……)

おしまい


(追記)
全く関係ありませんが
MBSで2017年12月3日、TBSで12月5日から始まる。
咲 阿知賀編」のドラマを見てください。お願いします。
1月に特番と映画もあります。詳しくは公式サイトで。

間違って2018年以降に検索で飛んできてしまった人、
どうせアマゾンプライムに入ってるので見てください。

いやならdアニメストアでアニメでも良いです。 では。

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