Top > スポンサー広告よしなし事 > 10年遅れの愛のCoda

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

10年遅れの愛のCoda

みなさん!キリンジの「愛のCoda」という楽曲をご存知ですか!

壇蜜さんが「人生の最期に聴きたい曲」にチョイスしたと知り、
はじめて聴いてみたんですが、これがいいのなんの!



最初はただ美しいメロディと、
声の心地よさに浸っていただけなのですが、
歌詞に耳を傾ける余裕ができると、
これはまさか……延々と
「自己愛」と「自己憐憫」を歌い上げた、
ひどく情けない歌なのではないか!?
と、気づきました。

そうしたら余計好きになりました!
自らを反省することなく、
ただ「しかたなかった」と理由をつけて
諦めて、相手の気持ちを勝手に想像して、
「おれと同じ気持だろう」なんて思って、
一人身勝手な孤独に沈む。
でもきっとそれは気持ち良いことだと思います。
不様でみっともない自己満足だと言い切るには、
メロディも歌声も、あまりにも甘くて、美しく、
自己憐憫の甘美さを保障してやまない――。

以下に、歌を聴きつつ書いた、
歌詞の解釈メモを載せておきます。

こんなことしてると、卒業論文のテーマが
「詩」だったことを思い出します。
そしてボクにはセンスがなかったことも――。


雨に煙った飛行場はモノクローム

心象風景と同義。
飛行場は旅立ちを担いますが。
それがモノクロームということは、失意の旅路ということ。
ここではもちろん、失恋からの逃避行です。
飛行場を色づける「雨」は、
憂鬱や愛を喪った涙を想起させます。


傘を捨ててコートを脱ぐ

傘は意識的に「雨」を避けるための努力といってもいい。
努力をしないと雨に濡れますね。
「捨てる」という表現から、もう努力はしませんという
強い、捨八のような意識が読み取れて良いですね。

「雨」を吸ったコートはただただ重荷です。


銀の翼が唸りをあげ走りだせば
窓をつたう愛のしずく 飛び散った


初めて出て来た色は「銀」。
メタリックな色は問答無用な冷たい感じを与えますね。
唸りをあげたらもう、小さな人間にはどうしようもない。
無理にでも恋の後悔や憂鬱を吹き飛ばしてしまいます。


あなたの孤独、その清しさに心うばわれ

ここではまだ彼女が他人だということ、
そして自分と違うからこそ惹かれたと認識できているんですね。


激しく求めた記憶
春の宵 光の夏 途切れたフィルム


彼女との思い出を振り返っていますが、
ある瞬間を境に、自衛的に振り返るのをやめ、
そこから次のセクションに流れ込みます。


すべてを覆いかくす雲の上で
静けさに包まれていよう


「雨」を生み出す雲の上にいたら、
そら「雨」に関する悩みからは開放され、
静かな心持ちでいられるでしょう。


不様な塗り絵のようなあの街も
花びらに染まってゆくのだろう


不様な塗り絵は、色が滲んでしまったもの。
滲みは余分な水で生まれますが、ここでは「雨」でしょう。
彼女との思い出のある街は、嘗ては色づいていましたが、
今は「雨」で不様に滲んでしまった。

花びらは春や陽気なものを想起させます。
腐らせ、色を奪うことのない「雨」とは無縁の
花びらはきっと自然で鮮やかな色なのでしょう。


今はただ春をやり過ごすだけさ
地の果てで


まだ飛行機の中のはずなので、
様々なしがらみ―別れたあなたのこと、
あなたと過ごした街、失恋の記憶といった面倒なことを
思い出せないくらい遠くで過ごしたいというプラン。
春は、彼女との思い出が始めた最初の部分であり、
自分が当事者でない、他者の浮かれる春は地獄なので、
そりゃあ地の果てにでも行きたいというもの。


灼け付く日差し ひるむ背中 立ちつくした
頬をつたう汗をぬぐい踏み出せば


一番がウェットな雨ということで、
対句でカラッとした場面を出したかったというのもありましょうが。
恋の悩みは雨ばかりでもないぜということで。


胸の傷から夕陽が溢れて
軋む列車を追いかけて
赤に浸す 青が散る 夜に沈む
星がこぼれた

一番で「あなた」からの逃避が描かれたので、
ここでは「あなた」への追想、追憶が描かれます。
しかしその追想には具体性がなく、
時間は無為に過ぎ、ただ美しい星のような思い出が
こぼれ落ちるばかり。
彼女と向き合うことも、省みることもありません。


帰りのチケットを破る意気地も
愛に生きる勇気もない


彼女の元に残る(そしてやり直すための努力をする?)
ということと並べるのが
「愛に生きる勇気」というのは、あまりに大げさ。
問題を実際以上に大きく受けとめ、
諦める口実にしている。
ただ自分を慰め、愛のための努力を放棄する理由を探している。


不様な塗り絵のような人生が
花びらに染まっていたあの夏


自らの人生を惨めとみなし、
ただ心地よかった日々に浸る。
自己憐憫の延長。


今はただ春をやり過ごすだけさ
地の果てで


同上。ただし、その春は嘗ては自分にも訪れていた
と見做すことで、より辛いものとなり、
一番とは少し味わいが違うつぶやき。


今でもあなたは探しているの?
醸し出されることのない美酒を


彼女の希望を実現不可能なものとし、
実現不可能なら自分が叶えられなくてもしかたないと
合理化する思考の働き。


雨に負けぬ花になるというの?
やわらかな心を石に変えて


やわらかな心と石とを対比させ、
良い物、悪い物の構図に簡略化。
石になり得る――「雨」を避けない――選択を
暗に批判します。


不様な塗り絵のような街でさえ
花びらに染まるというのに


そんなこといっても、
恋やら愛は、周囲の都合や雰囲気で、
どうにかなるものなの?


今はただ春をやり過ごすだけ
浅い夢酔えないあなたのように
行き先も理由も持たない孤独を友として


浅い夢酔えないは、
醸しだされることのない美酒の反対ですね。
こちらで提供可能なまずまずのお酒で
見られる夢では酔えないということ。

言ってしまえば
「おれで満足しておくべきところを、
 頑なになって辛い思いをしている
 あなたは愚かだし、おれは可哀想だ」
ということですな!


こんな風に、
身勝手な自己憐憫ソングと解釈してみたのですが……。
10年遅れでな!

ボクもぜひ、利根川にプカプカ浮かぶときは流したいです。
川だけに。ただ反省もせずに、自己憐憫に沈みながら。
川だけに。

スポンサーサイト

Search

Return to page top

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。