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「ダークナイト」感想

バットマン映画だからとか、アメコミ原作だからとか、
そういった理由で食わず嫌いしている人こそご覧になってほしい。
大傑作。

本作にキリスト教とイスラム教の対立を見出す人もいれば、
ヒーローとは、正義とは何かと考えを巡らす人、
ジョーカーの途方もない狂気に中てられる人もいるでしょう。
どんな見方をしても、作中の仕掛けがその見方を妨げません。
故に幾らでも深読みでき、それでいて本質は汚されない。
つまりこちらとしても、語れといわれれば幾らでも語れる(笑)。

以下、致命的なネタバレ有り。なので畳む。

(追記:うおお勢いで書きなぐったけど、振り返らないぜ!)

二律背反です、二者択一です。
本作においては「裏と表」「2つに1つ」という選択をまま迫られます。

その中において、地方検事のハービー・デントには裏がなかった。
「ダークナイト」たるバットマンの表の存在として、
悪徳蔓延るゴッサムシティを表から改革せんとする「ホワイトナイト」は、
市民は知りえませんが、選択のときに常に「両表」のコインを用いる。
それは彼の徹底した実直さ、揺るがない強さの象徴であり、
それ故市民は彼を求め、バットマンも彼に街を任せ、
アウトローの自分は引き下がろうと思った。

しかしデントは、バットマンの裏の存在、
全ての倫理・常識・希望の裏を行く存在、
ジョーカーによって爆発に巻き込まれ、半身に重傷を負い、
自らの恋人を失ってしまう。
死に接しすぎたデントは、ジョーカーの言うとおり「狂う」。
両表の正義を捨て、片面が爆発事故で焼け焦げたコインを持ち、
自らの恋人の死に関わった人間を裁きに出る。
「コインの表が出れば助け、焦げた面(裏)が出れば殺す」という趣向で。
「人間が生きようが死のうがどちらでも良い」というのは狂気です。
市民の希望たるハービー・デントは、穢れるのです。

ほぼ同時期に、弱き市民がジョーカーの悪意・狂気を
打ち破るという奇跡的な出来事が起こるのですが、
その答えは「両表」「2つのうちのどちらも選ばない」ということであり、
つまるところ人々が狂気から救われるには「両表」であること、
人間の善意を信じることであり、
「両表」の希望のデントが永遠に失われたこと
(人殺しと堕したこと)が知られれば、
市民にとって計り知れない絶望となると明らかになります。

ですが、バットマンはデントの死した後に、
「デントの犯した罪を自分がやったことにする」という方法で、
デントの名誉を守り、彼を「両表」の人間、
「ホワイトナイト」のままで死なせ、
市民の希望を絶やす事を許しませんでした。

デントの本質はもはや片面の焼け焦げた、裏表のあるコインです。
しかし焼け焦げた面をバットマンが引き受けることで、
表ばかりの人間として、死ぬ事が出来た。
バットマンはこれから今まで以上に謗られ、人殺しとして
(バットマンは銃を用いず、人を殺すこともなかった)
石持て追われる存在となるでしょう。
でも、だからこそ彼が引き受けた裏面は、
ボロボロになった裏面は、表の面のように輝かしく、美しく、
両表といって差し支えないのです。

・・・ ・・・ ・・・ ・・・

正直、普段は風のように現れ、闇に融けるように去るバットマンが、
ヒョコヒョコと逃げ去るラストシーンのものがなしさに、
涙を禁じ得ませんでした。

多くのものを失い、傷つき、敗走しても、
市民の希望や祈りを引き受ける彼の、なんとかなしく、神々しい事か。


「ヒーロー」に真摯に向き合い答えを出した名作です。
今年はもう映画見なくて良いな(笑)。

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Tag : 映画

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